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貯水槽清掃は定期的に行わなくてはならない!管理者の義務とは


貯水槽とは多くのマンションや公共設備、ビルなどで導入されている生活用水を貯めておく設備です。貯水槽は生活に直結する設備であるため、衛生を保つことが必須で、定期的な清掃が必要です。今回は貯水槽清掃とは何か、また貯水槽の管理者に義務づけられている内容について解説します。

そもそも貯水槽清掃とは

貯水槽清掃とは、水を貯めておく水槽の衛生を保つために、一時的に水を抜き内外をきれいに掃除することです。ビルやマンション、学校や病院といった、多くの人が水を使う建物では、水道管からだけでは水が行き渡らなくなってしまいます。そのため、貯水槽を設置して水道管を通ってきた水を貯めておき、一度に多くの人が水を使っても、貯めておいた水で対応できるようにしているのです。

また、震災以降、災害対策として貯水槽が設置されている建物もあります。貯水槽は屋外に設置されている場合も多いのですが、中の水は利用する人の健康に直結します。雑菌やカビ、虫の発生などで水が汚染されると、健康被害を起こす恐れがあるため、定期的に貯水槽清掃が必要です。

ビルの管理者に貯水槽清掃は法律で義務づけられている

貯水槽の容量が10立方メートル(10トン)を超える場合、水道法によって、年1回以上の貯水槽清掃が、設置者に義務付けられています。マンションであれば、オーナーや管理会社、ビルであれば管理者が対象です。この義務を怠ると、100万円以下の罰金が課せられます。

ビルのなかでも床面積3,000平方メートル以上の建築物では、建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)を選任することが、建築物衛生法に定められています。このビル管理士の仕事に、貯水槽の管理や水質の定期検査という業務が含まれています。

また、貯水槽が小さいからといって、清掃が不要ということではありません。貯水槽の容量が10立方メートル以下の場合は、水道法の義務には該当しませんが、各自治体が条例や要綱により、清掃を義務づけている場合があります。小規模だからと安心せず、各自治体の規程を必ず確認する必要があります。

貯水槽清掃の流れ

貯水槽を清掃する義務は設置者にありますが、設置者自身が清掃すればいいわけではありません。貯水槽の清掃には、資格が必要です。厚生労働大臣の認定を受けた「貯水槽清掃作業監督者」もしくは、「貯水槽清掃作業従事者研修の修了者」しか貯水槽清掃を行えません。

有資格者には、定期的に健康診断などが義務づけられており、有資格者であっても、健診の異常や体調不良を起こしている場合には、清掃に携わることができません。貯水槽清掃を実施する場合には、まずはこうした有資格者のいる業者を探して依頼します。「建築物飲料水貯水槽清掃業」の登録を受けている、衛生管理のきちんとした業者を選びましょう。

貯水槽清掃を実施する際には、3~6時間断水するため、建物の利用者に向け、数週間前から事前告知をすることが大切です。清掃時は作業者が貯水槽の高圧洗浄、排水、洗剤を用いたブラッシング洗浄、再度高圧洗浄で洗い流します。清掃が終わると貯水槽内を塩素で消毒します。新しい水を入れて残留塩素を測定し、飲用に適した水か水質検査を実施ます。問題がなければ断水を解除します。管理者は業者に任せきりにするのではなく、業者を監督し、作業前後の確認、報告書の確認と保管をすることが必要となります。

まとめ

今回は、定期的に行う必要のある、貯水槽清掃と管理者の義務について解説しました。貯水槽は多くの人が集まる施設や住居で大量に水が使えるようにするうえ、災害対策としても重要な施設です。飲み水を貯めておくため、貯水槽の衛生管理は建物を利用する人の健康に直結します。過去には衛生管理や塩素消毒が不十分だったために、細菌による集団食中毒を引き起こした事例もあります。貯水槽清掃の必要性を理解して衛生管理を徹底し、利用者が安心して使える水を提供しましょう。