
オフィスや店舗で清潔な環境を維持するために清掃業務を外部委託する企業は増えています。しかし、契約内容を充分に理解せずに清掃会社と契約を結ぶと、思わぬトラブルや法的リスクに発展することもあります。この記事では、委託清掃に関する法律上の注意点と、契約時に確認すべきポイントをわかりやすく解説します。
清掃委託契約で関係する主な法律とは
清掃業務を委託する際には、複数の法律が関係してきます。契約形態や業務内容に応じて適用される法律が異なるため、まずは基本を押さえておくことが大切です。
ここでは、清掃委託契約で特に注意すべき法律やポイントを整理します。
労働者派遣法と請負契約の違い
清掃会社に業務を依頼する際、多くの場合は「請負契約」または「委託契約」が結ばれます。請負契約では清掃会社が自社の従業員を管理し、成果物(清掃の完了)に対して報酬が支払われます。
一方、依頼主が清掃員に直接指示を出すような場合は「労働者派遣」とみなされる可能性があり、労働者派遣法の規制対象となります。清掃会社に委託する場合は、現場での指揮命令を行わないよう注意しましょう。
労働安全衛生法の適用
ビルや工場などの清掃作業には、高所作業や薬品の使用など危険を伴う業務が含まれる場合があります。委託先の清掃会社は「労働安全衛生法」にもとづき、従業員の安全確保や教育を行う義務があります。
また発注者側にも、作業環境の安全を確保する「安全配慮義務」が発生するケースがあります。
下請法・契約書面の交付義務
大手企業が清掃会社に業務を発注する場合は「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」が適用される場合があります。これは、発注元が不当な値引きや支払い遅延を行うことを防ぐための法律です。
契約時には、業務内容や支払条件を明確に記載した契約書を交付する必要があります。口頭での依頼や見積書のみの取り交わしはトラブルの原因となるため避けましょう。
清掃会社との契約書で必ず確認すべきポイント
清掃契約書は、業務範囲や責任の所在を明確にするための重要な書類です。とくに以下の項目を確認しておくことで、トラブルを未然に防げます。
ここでは、清掃会社との契約書で特に確認しておくべきポイントを整理します。
業務範囲と作業頻度の明記
「共用部の清掃」「カーペットの洗浄」など、具体的な清掃範囲を明確にしておくことが大切です。とくにトイレや給湯室などの共用スペースは、頻度や時間帯を指定することで品質を安定させられます。
契約期間と自動更新の有無
清掃委託契約は通常、1年ごとの契約更新が多いですが、自動更新条項がある場合は解約のタイミングを誤ると契約を継続せざるを得ないこともあります。更新条件や解約の通知期限を事前に確認しておきましょう。
責任の範囲と損害賠償条項
清掃作業中に設備や備品を破損した場合、誰が責任を負うのかを明確にしておく必要があります。多くの清掃会社は損害賠償保険に加入していますが、契約書でその範囲を確認しておくことが安心です。
料金体系と追加費用の条件
見積書に記載されている費用以外に、臨時清掃や特別作業(ワックスがけ、窓清掃など)で追加料金が発生する場合があります。料金体系を明確にしておくことで「思ったより高かった」というトラブルを防げます。
清掃契約でよくあるトラブルと防止策
契約内容を充分に確認していなかったり、業務範囲の解釈に違いがあったりすると、清掃業務に関するトラブルが発生します。ここでは、代表的な事例を挙げ、その対策を紹介します。
清掃品質に関するトラブル
「思っていたより清掃が雑」「スタッフの入れ替わりが多い」などの不満はよくあるケースです。契約前に「品質基準」や「担当者固定の有無」を確認し、定期的に清掃品質のチェックを行うことが大切です。清掃後に写真報告やチェックリストを共有してもらう方法も有効です。
契約内容の食い違いによる問題
「依頼していない追加作業を行われた」「契約外の場所を清掃された」などのトラブルは、契約範囲を明確にしていないことが原因です。契約書にすべての清掃エリアと頻度を明記し、作業指示は書面で残すようにしましょう。
契約解除に関するトラブル
清掃会社の対応に不満があり、契約を終了したい場合でも、途中解約には違約金が発生する場合があります。契約書には「中途解約の条件」や「通知期限」を明記し、契約解除の手順を理解しておくことが重要です。
まとめ
委託清掃契約では、業務内容や責任の所在を明確にしておくことがトラブル防止の第一歩です。請負契約と派遣契約の違いを理解し、法令に沿った契約を行うことが大切です。また、契約書には業務範囲・料金・更新条件・損害賠償などの項目を具体的に記載し、双方が納得したうえで締結しましょう。契約後も定期的な清掃品質チェックや報告体制を整えることで、安定したサービス提供と信頼関係を築けます。正しい知識と適切な契約管理が、安心して清掃業務を任せられる職場づくりのカギとなります。
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